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医療崩壊の原因

【医師(特に勤務医)の仕事量増加】

もともと仕事量が多かったのがさらに増加している

・高齢化による患者数の増加
   高齢になるほど病気が増え、病院にかかることが多くなる

・医療の高度化のため同じ病気に対しても処置などが複雑化・長時間化している。

・患者の過度の欲求

・患者さんや家族への説明時間が長くなっている。

・書類作成の増加
   介護保険意見書、入院診療計画書など、作成する必要がある書類が増えている。

・会議(安全対策委員会、感染対策委員会、経営会議、病院機能評価を受ける準備など)が増えた。

・電子カルテ・オーダリングシステムの導入。
   事務員の仕事量は減ったが、医師の仕事量は増加。

・人員不足(もともと少なかった人員がさらに減少している)
   1人が辞めると他の医師の負担が増える。
   →他の医師の負担が増えると、負担に耐え切れなくなった医師が1人辞める
   →残った医師の負担が増える。
   という悪循環

・当直時間帯などの救急対応の増加
   医療のコンビニ化
   軽症患者の救急車利用の増加
   不況による共働き世帯の増加・休みが取りにくい職場の増加→昼間受診が困難な人の増加

・二次救急病院の減少による三次救急病院(高度救急病院)の患者数の増加
   救急医療は専門外の患者が多く救急の得意でない医師にとっては非常なストレス、救急医療は赤字がほとんどで不採算部門
   →二次救急病院が救急医療から撤退
   →三次救急病院へ軽症〜中等症の患者が殺到し、救急医の仕事量が増加

・産科では看護師の内診が原則禁止されたので、産科医の仕事量が増加

・未熟児の増加による小児科医(新生児科医)の仕事量の増加
   晩婚化→高齢出産の増加・不妊治療の増加→未熟児の増加

【人員不足】

・もともと日本の医師数は諸外国に比し少ない。
  人口10万人あたりの医師数(2004年)は、OECDの30カ国平均では310人に対し、日本は200人で、下から4番目に少ない。
  (諸外国の統計では実際に働いている医師数 ⇔ 我が国の統計では働いていない医師(超高齢の医師・専業主婦で働いていない医師)を含めた全医師数なので、我が国の勤務している医師数はさらに少ない)

・医師の診察している患者数が多い
  医師1人・1日あたり診察している入院患者数は、日本の医師は、米国の5倍、英国の3.5倍、ドイツ・フランスの3倍。
  医師1人・1日あたり診察している外来患者数は、日本の医師は、米国の5倍、英国の2.5倍、ドイツ・フランスの3倍、スウェーデンの8倍。
    日本では、医師不足に加え、国民一人あたりの年間外来受診回数が多い。
    日本では、予約なしで、好きな日時に、専門医などに直接受診可能である(医療機関へのアクセスが容易)。
     欧米諸国では、救急医療を除くと、保険会社の許可が必要であったり、診察予約待ちがあり、すぐに受診できない場合がほとんど。
    日本人は、欧米人より「不安」を感じる人の割合が高く、軽い症状でも受診する。
  国民1人当たりの年間受診回数は、日本はOECD平均より2.6倍多い。

・医療費が少ないため、事務員などの人員を十分に雇うことができない。
  医師がしなくてもいいような事務的な仕事が多い(ラベル貼ったり、書類のコピーをとったりなど)。
  患者さんの搬送、古いカルテやレントゲン写真や採血したスピッツの搬送や、薬局に薬をとりにいったりなどを医師がしている病院が多い(特に大学病院)

・研修医義務化による労働力の低下

・医師の中で女性の比率が増加
  女性医師は結婚して子供ができると、第一線の医療から退くことが多い
  また、外科医になる女性はかなり少ないため、外科医不足の原因のひとつでもある。
  過去15年でも新卒の女性医師の割合は約20%→約33%に増加している。
・キリスト教が主である欧米諸国では牧師・教会関係者などが患者の相談にのることが多いが、日本ではそのようなことはあまり期待できないため患者の精神的ストレスなどを医師・看護師などが直接対応する必要がある。

・欧米の病院ではボランティアが多いが、日本ではボランティアが少ない。
・欧米では病院への寄付が多く財政的に余裕があり人員をたくさん雇うことができるが、日本では病院への寄付はほとんどないため経営的に苦しく安い給与で少人数しか人員を雇えない。



現在、マスコミなどでは産科医・小児科医・麻酔科医の不足が問題視されているが、今後は外科医・消化器内科医などの不足が問題になると予想される。
一方、今後も皮膚科医・眼科医・美容外科医・精神科医・糖尿病内科医などは不足しないと予想される。

【研修医義務化による労働力の低下】

・研修医の大学病院離れによる大学病院の人手不足
  以前は研修医のほとんどが大学で研修していたが、2004年度からの研修義務化後、大学以外で研修するものが半数に増え、その分大学病院での研修医数が減少した。

・研修医の異常な長時間労働の是正
  今までの研修医は月の残業時間が250時間など過剰な労働をしていたが、死亡例がでたため長時間労働が規制された。

・ローテート研修の義務化による労働力にならない研修医の増加
  今までの研修医はストレート研修(内科だけ研修するなど)をしているものが多く、また異常な長時間労働により単科の医師としての能力は短期間で急激に上昇していた。そのため、短期間で一人前の医師になることができた。
  現在の研修医はいろんな科を少しずつまわるので、広く浅い知識のゆっくりとした増加があるだけのことが多く、一人前の医師になるのに時間がかかる。
  また、やる気のない研修医が増加し、指導医のモチベーションを低下させる。

・派遣先の病院から大学病院がへ医師の引き上げ
  研修医の数の減少と、研修医1人あたりの労働力が低下した大学病院では、地方の病院に派遣していた医師を引き上げた。

・医師の派遣が減少した地方の病院では残った医師の労働がさらに増加し
 →燃え尽き症候群となり、さらに医師が病院を辞める(開業や、都会のもっとましな病院への移動=立ち去り型サボタージュ)
 →医師が全員辞めると、近隣の病院へ患者が殺到する。
 →近隣の病院での労働が過酷になる。
 →仕事量の増加に耐えられなくなり、近隣の病院から医師が辞める


 研修医義務化の前は、医学生(現状認識が甘いものが多い)が、卒業後すぐに産科・小児科・外科・脳外科などの過酷な科に入局していたが、研修医義務化後は、研修医の2年間で実際の産科・小児科・外科などをローテート研修し、悲惨な現実を認識してしまうため、そのような忙しすぎて訴訟のリスクの高い科を選ぶ人が少なくなった。

 大学医局に所属する医師にとって研修医義務化以前は教授の命令は絶対であり、行きたくない病院や僻地病院などへの転勤命令に従ってきたが、厚生労働省の長年の夢であった医局崩壊により、医局に所属する医師の絶対数の減少と教授の権威の低下により、僻地病院などに医師を十分に派遣できなくなった。

【士気の低下】

・DQN患者・クレーマー・モンスターペイシャントや家族の増加、患者や家族の暴言・暴力・脅迫
  倫理観の低下した日本人の増加、お客様第一主義の徹底(やり過ぎ)

・疲労困憊。睡眠不足の蓄積。

・マスコミの理不尽な遠慮のない医師・医療バッシング
  医師よりも新聞・テレビを信じる国民

・プロ市民の医師・医療バッシング

・医療訴訟の増加、医学的常識からはかけ離れた判決の増加

・書類送検・刑事告訴の増加

・実働部隊の医師に対する理解不足の病院幹部や自治体幹部

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