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【感染症法での届出】


(1)全ての医師が、全ての患者の発生について、ただちに、届出を行う必要のある感染症
1類感染症:エボラ出血熱、ペストなど
2類感染症:結核、ジフテリア、SARS、鳥インフルエンザ(H5N1)など
3類感染症:腸管出血性大腸菌、細菌性赤痢、コレラ、腸チフス、パラチフス
4類感染症:ブルセラ、マラリア、つつが虫病、ボツリヌス、レジオネラ、オウム病、A型肝炎、E型肝炎、H5N1を除く鳥インフルエンザ、日本脳炎、狂犬病、エキノコックス、腎症候性出血熱、発しんチフス、デング熱、炭疽など

(2)全ての医師が、全ての患者の発生について、7日以内に(麻しん・風しんはできるだけ早く)、届出を行う必要のある感染症
5類感染症の一部:後天性免疫不全症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、風疹、麻疹、先天性風疹症候群、梅毒、破傷風、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、アメーバ赤痢、ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)など。

感染症法に基づく医師の届出のお願い 厚生労働省


感染症全般

【空気感染するもの】

麻疹、水痘、結核、SARS
ノロウイルスも空気感染の可能性がある。

ウイルス

【かぜ症候群の予防には手洗い】

かぜ症候群に関しては、接触感染の頻度が多いライノウイルスなどが多くを占めているので、「手洗い」は予防対策として、ある程度有効である。

【帯状疱疹と抗ウイルス薬】

帯状疱疹患者にバルトレックスやゾビラックスなどの抗ウイルス薬を用いる最大の理由は、帯状疱疹後神経痛の予防である。

ちなみに、帯状疱疹の生涯罹患率は約15%。高齢になってからの水痘ワクチンで、ある程度予防できる。

【ゾビラックスクリームで、コンドーム破損のリスクあり】
ゾビラックスクリームはコンドームなどのラテックスゴム製品の品質を劣化させ、破損する可能性がある。 性器ヘルペス患者に投与する場合は注意が必要。

【ヘルペスウイルス】

紫外線・日光で活性化されるので、日焼けサロン・スキーなどの後に発症・増悪しやすい。

【ウィルス疾患の感染既往の確認に推奨される検査方法】

風疹ウイルス         : HI(赤血球凝集抑制反応)で16倍以上なら「免疫あり」。保険点数80点。

麻疹ウイルス         : NT(中和反応)で4倍以上なら「免疫あり」。保険点数80点。

ムンプスウイルスIgG     : EIAで6.0以上 or 8.0以上なら「免疫あり」。保険点数230点。

水痘・帯状ヘルペスウイルス : IAHAで4倍以上なら「免疫あり」。保険点数80点。

PS:
・CF法は感染既往の確認においては、意味がありません(感度が低いので)。
・麻疹ウイルスはEIA法で10.0以上なら「免疫あり」、水痘・帯状ヘルペスウイルスではEIA法で6.0以上 or 8.0以上なら「免疫あり」と診断できます。EIAでは保険点数が高いですが...。

【麻疹の合併症】

麻疹の二大死因は肺炎と脳炎
中耳炎 : 合併症で最も多い。約5〜15%に合併する。
脳炎 : 0.05〜0.1%に合併。致死率は15%。20〜40%に中枢神経系の後遺症(精神発達遅滞・痙攣・行動異常・聾・片麻痺など)が残る。60%は完全に回復する。
亜急性硬化性全脳炎(SSPE) : 発生頻度は、麻疹罹患者10万例に1人、麻疹ワクチン接種者100万人に1人。知能障害・運動障害・ミオクローヌスなどがみられる。平均6ヶ月で死亡し予後不良。

【HBワクチン】
正規のワクチンではHBc抗体は上がらない。

インフルエンザ

【インフルエンザの予防・治療に効果がありそうな薬】

〔漢方薬〕
・麻黄湯 (麻黄はエフェドリン含有しており心疾患には投与しないほうがよい。バセドウ病にもダメ。若くて体力のある元気な人に使う薬。)
・葛根等 (高齢者にはよくない。若者〜中年の元気な人によい。)
・柴胡桂枝湯 (少し虚弱体質の人によい。)
・麻黄附子細辛湯 (高齢者や虚弱体質の人には、これを使う。辛いのでツムラの顆粒より小太郎のカプセルの方が飲みやすい。妊婦にはダメ。)

・クラリス(マクロライド)

・ビオフェルミン(予防薬として有効かも...)

私としては、インフルエンザのヒトには、
(1) タミフル or リレンザ
(2) その人にあわせた漢方薬
(3) クラリス
の併用がよいと思っています。
解熱剤は、アセトアミノフェン(ピリナジンなど)で十分と思います。
あとは、水分を十分にとるのが大切かと(特に高熱の出るとき)。

【タミフル】

タミフルの7〜8割が日本で使用されている。
A香港型に対するタミフルの耐性出現率は成人では1%以下、小児では5%、乳幼児では20%程度。 タミフル耐性ウィルスは増殖能力が弱い。


タミフル、リレンザ
日本医師会雑誌134巻第10号がインフルエンザの特集です。
柏木征三郎先生の論文によれば、B型に対するタミフルの解熱に要する時間は、A型に比べ半日以上余計にかかると言うものです。
効かないわけではないが、切れは相対的に悪い。てなとこですか。

また日経メディカル2005年11月号にも特集があります。
それによればタミフルの50%増殖阻止濃度(IC50)はH3N2に対して0.73nM、B型に対して11.3nM。リレンザのIC50はH3N2に対して2.09nM、 B型に対して4.15nM。またリレンザは直接病巣に薬剤が到達しますから、より高濃度で作用することができます。

以上からB型とわかったらリレンザを使うと言うのも、悪くはないかと思います。


CNNによると、ラムズフェルド国防長官は、タミフルの特許をもつギリアド・サイエンシズ社の元会長で、大株主(500万〜2500万ドル程度保有しているといわれている)。ギリアド社はタミフル販売額の10%のロイヤリティーを受け取っている。

【インフルエンザ迅速診断キット】

インフルエンザ迅速診断キットの9割は日本で使用されている。

【インフルエンザワクチン】

インフルエンザワクチンの2回接種
2回接種の場合は、2回目は1回目から1〜4週間あけて接種する。
最も免疫を獲得する効果が高いのは、1回目の接種と2回目の接種間隔がおよそ4週間の場合とされている。


はしか(麻疹)や水ぼうそう(水痘)などに感染してしまった場合には、一般的には完全に治ってから4週間はインフルエンザワクチンの接種をひかえた方がよいとされている。 これらの疾患に罹患すると、免疫能が低下していることがあるため、ワクチン接種の効果を得るには期間をあけ、免疫能の回復を待つ必要があると考えられるので。

インフルエンザ関連脳症のほとんどの症例が、A香港型インフルエンザウイルス感染に伴って発症している。

ビフィズス菌、インフルエンザ予防に効く?

 ビフィズス菌を多めに取る高齢者は、免疫機能が高まり、インフルエンザウイルスに感染しにくいという研究結果を、森永乳業栄養科学研究所(神奈川県座間市)がまとめた。今年3月に開かれる日本農芸化学会大会で発表する。

 茨城県内の介護老人保健施設に入所している高齢者27人(平均年齢86歳)に2004年11月から毎日、ビフィズス菌の一種「BB536」を1000億個含む粉末(2グラム)を飲んでもらった。インフルエンザ流行のピークが過ぎる昨年3月末まで飲み続けたグループ(13人)には、飲む前に比べて、白血球の殺菌機能が高まる傾向が見られ、インフルエンザ発症者がいなかった。一方、1か月半で飲むのをやめたグループでは、14人中5人が発症した。

 光岡知足(ともたり)・東大名誉教授(微生物生態学)は
「免疫力の下がった高齢者にとって、インフルエンザにかかりにくくなる効果が期待できる。ただ即効性はないので、流行の1か月以上前から飲み続けることが望ましい」と話している。
(読売新聞)2006年1月4日

細菌


歯周病

【歯周病の原因菌】

成人ではグラム陰性嫌気性桿菌のPorphyromonas gingivalisが多い。 P. gingivalisに対しては、MINO、CAM以外に、PCG、CLDMが有効。 LVFXの効果はやや低い。 マクロライドの中での効果は、CAM>AZM, RXM, EM。

若年者では、Actinobacillus actinomycetemcomitansが重要。 A. actinomycetemcomitansに対しては、LVFX・CPFX>MINOが有効。 マクロライドの有効性は低い。

Bacteroides forsythusTreponema denticolaも歯周病の進展に重要な役割を果たしている。

【歯周病・歯肉炎での抗生物質】

(1) マクロライド : クラリス、ジスロマックなど
(2) ミノマイシン
(3) クラビット

第一選択は、
中年以降では、クラリス or ミノマイシン。
若年者では、ミノマイシン or クラビット。

クラリス・ジスロマック・ミノマイシン・クラビットの保険適応病名は、「歯周組織炎」。

LS1乳酸菌が歯周病予防に有効との報告あり。
 →ライオン 乳酸菌LS1 歯科用オーラルヘルスタブレットとか。

【おすすめの歯ブラシ】
ライオン DENT.EX システマ歯ブラシ

【おすすめの歯磨き粉】
ウエルテック ジェルコートF
ライオン デントチェックアップスタンダード

【おすすめの洗口液(デンタルリンス)】
ウエルテック コンクールF

【おすすめの子供用 歯磨き粉】
6歳未満→ライオン チェックアップジェル バナナ
6歳以上→ライオン チェックアップジェル グレープ/レモンティー::グレープがおすすめかと。

結核

【結核の疫学】

日本の死亡率第1位は1950(昭和25)年までは結核であった。
1997年に43年ぶりに患者数が前年より増加した。
2000年の結核死亡率は人口10万人当たり2.1人、罹患率は31.0人。日本の結核罹患率は、欧米先進国の約5倍高い。
新規結核の60%が60歳以上(2005年)
日本では、肺結核が80%、肺外結核が20%。
肺結核では全体の2/3の症例で喀痰の塗抹培養または核酸増幅法により診断が確定している。

結核は1950年代まで毎年50万人近い患者さんがあり、この時代に青春期を送った現在の高齢者は、大部分が若い時に結核に感染している。 感染した人の5〜10%が発病し、発病を免れた人でも3分の1以上の人は、結核菌を体のなかに抱えたまま高齢に達している。 結核菌は体の抵抗力(免疫力)によって抑え込まれ、冬眠状態になっている。

【健康な人と比較した結核発病のリスク】

塵肺 30倍、癌 16倍、免疫抑制剤使用 12倍、人工透析 10〜15倍
胃切除後 5倍、糖尿病 2〜4倍、低栄養状態 2〜4倍、大量喫煙 2倍

活動性肺結核の患者の高血圧に、ACE阻害薬はよくない。
咳が出やすいので。


【結核の予後】

結核発症1ヵ月後の死亡率
 1995年は2%
 2005年は5%

【結核の治療の方法】

 (1)INH、(2)RFP、(3)EBまたはSM、(4)PZAの4種類の抗結核薬を治療開始後2カ月間投与し、その後INHとRFPを4カ月間投与し、全期間を6カ月で終わらせる。
 80歳以上の高齢者や肝機能障害のある人でピラジナミドが使用できない場合は、最初の6カ月はイソニアジドとリファンピシンを使う。

 最近、薬が効きにくい耐性菌も出現しており、ニューキノロン系やクラリスロマイシンも使われる。
 ツベルクリン反応が急激に強陽性となった場合は、予防的にイソニアジドを投与することもある。

【BCG】

日本ではほぼ全員が幼少時にBCG接種を受けており、多くの人はツベルクリン反応が陽性を示す(90%以上)。

日本では2003年から結核予防ワクチンとしてのBCG(東京株)接種は乳幼児の時の1回のみの施行となった。
小児結核(結核性髄膜炎)にはBCGワクチンが有効である。
成人でのBCGワクチンの切れ味が弱いことから、現在新しい結核ワクチンが数種開発されつつある。

【結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロン-γ測定(QFT)】

 「結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロン−γ(ガンマ)測定」がH18年1月1日より保険適応になりました。410点です。(プラス、免疫学的検査144点)。別名、クォンティフェロンTB-2G、略語はQFT-2Gです。
 結核菌感染の有無を調べることができます。
 採血した血液と結核菌特異抗原とを反応させ、患者のT-リンパ球からでてくるインターフェロン-γを測定するという方法です。
 これで、入職時などのツベルクリン反応が不要になります。

 (1) 結核の集団感染の時、
 (2) 感染性結核患者との接触者(医療従事者含む)、
 (3) 胸部CT等で結核が疑われるが喀痰塗抹培養やPCRなどで結核を確定できない人、
 (4) 肺外結核が疑われる時、
 (5) 免疫抑制剤投与前やレミケード(抗TNF-α抗体)などの投与前で結核菌感染が疑われる時、
 (6) 臓器移植および骨髄移植が行われる症例
などで、有用性が高いと思われます。

クラミジア

【クラミジア感染症】

クラミジア尿道炎・子宮頸管炎へのジスロマック単回投与
(以下、ファイザーのホームページなどより引用)
処方:ジスロマック(250)4錠分1×1日分。

20代前半の女性では16人に1人がクラミジア・トラコマティスに感染していると報告されている。
2005年の日本の高校1〜3年生5700人の調査では、性交の経験のあるもの(男子の31%、女子の43%)では、男子の6.7%、女子の13.1%がクラミジア・トラコマティスに感染していた。ちなみに欧米の女子高生の感染率は1〜4%程度である。
日本の若者のクラミジア感染は、1990年代後半から爆発的に増えている。

性器クラミジア感染症の患者報告数は5月から10月に多く、特に7月に多い。

女性患者では5人に4人、男性患者では2人に1人は自覚症状が無い。

感染を放置すると女性では、不妊症、流産・早産、子宮外妊娠や母子感染、男性では無精子症などの危険がある。
また、患者は、HIVの感染率が3〜5倍高くなると言われている。

クラミジアが原因の不妊症や子宮外妊娠は、10〜15年以内に大きな社会問題になると思われます。少子化対策のひとつとして、大変重要な問題だと思います。
また、女子高生〜20代の女性の下腹部痛をみたら、クラミジアによる骨盤腹膜炎を念頭において婦人科紹介を考えるべきだと思います。

PS:虫垂炎と骨盤腹膜炎の腹部所見の違い
両者とも、rebound tendernessがみられる。
虫垂炎は右下腹部のrigidityがみられることが多いが、骨盤腹膜炎では右下腹部は触診上やわらかいことが多い。

また、最近、特に若い女性において、クラミジアによる咽頭炎が増えていると報告されている。(理由については、よくわかりませんが...(^_^;)
若い女性で、咽頭炎のある場合(咽頭に発赤があるが、扁桃腺に白苔がみられない)、ジスロマック、クラリスなどのマクロライド系抗生剤が著効する場合があります。





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