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心カテの基本

昔、循環器内科で心カテやっていたころにまとめたものです。この頃は診断カテの穿刺部位は上腕動脈や大腿動脈からがほとんどで、PCI(この当時はPTCAと言っていました)の穿刺部位はほとんどが大腿動脈からでした。時期的にはステントに対しパナルジン+ASA(アスピリン)を使用しはじめた頃〜TRIがごく少ない施設で始まった頃です。


【術前の問診】
ムンテラの時に、今まで薬の副作用がなかったか聞く!!
歯を抜いたときに気分が悪くなかったか?(抜歯時にはキシロ使うのでキシロアレルギーの有無は?)
気管支喘息やアレルギー疾患はないか?(特に気管支喘息では造影剤アレルギーの頻度が高いので要注意!!)
薬で気分が悪くなったり蕁麻疹や喘息発作がでたことはないか?

【カテの時の抗生剤】
IEの高リスク患者(MR、AS、人工弁など)ではカテの時の抗生剤は点滴でいく(カテ日を含め、×2朝夕を3日間)。ドイル1g or セファメジン1g or ダラシン600mgなどを(PS:ダラシンは急速静注で心停止の副作用がありますので、生食100に溶かしてdivしましょう)。
IEのリスクが高くなければ、カテ前に、抗生剤をdiv開始し、穿刺が始まる時には終わっているくらいが望ましい(つまり、カテ中に抗生剤の血中濃度が高くなるようにするのが大事)。
 →術後投薬は不要 or セフゾン3錠分三×2日など

【術前】
術前に熱発していたら延期 or 中止。

血管穿刺部の血管を触っておく。反対側も触っておく。
剃毛が必要なら反対側も剃毛する。
→穿刺がうまくいかず、反対側から穿刺する時もあるので。

不安が強いヒトなら、前夜に眠剤 or 抗不安薬を飲んでもらう。
(睡眠が十分とれた人のほうが、カテ中に迷走神経反射をおこしにくいので)

胸部X線で、大動脈の石灰化の程度をみる。
大動脈の石灰化が強いヒトでは、カテを上げる時に先端が大動脈弓近辺では要注意です!!。

心エコーでは、心腔内血栓がないかみる(OMIの時に)、A弁の硬化がないかみる(LVGする時に通過しやすいかどうか)、心嚢液の貯留がないかみる(PCIの前には必ずみる。万が一、ワイヤーで冠動脈を穿孔した場合に前後で比較できるので。特にCTOやRotaの場合は必須で、これらの場合はポータブルの機械で背臥位で、心嚢液の有無をみておく)。

もし可能なら、穿刺部の血管を、血管エコーでみておくと、さらに安全。穿刺部の近位部の血管の走行をみるとか。
大腿動脈から穿刺する場合は、できれば、腹部エコーでAAAがないかどうか、腎臓の長径に左右差がないかもみておくとよい(一応、腎長径に15mm以上の差があれば、腎動脈狭窄を疑う)

CHFでなければ:
検査が午後なら、午前中に1リットルほどお茶 or 水を飲んでもらう。脱水だとカテ中のニトロ後などに血圧低下するときがあるので。糖尿病や高度肥満がなければポカリスウェットがおすすめです。
検査が午前なら、起床時に300〜500cc飲んどいてもらう。

定期内服薬
VSAの誘発の時
 2日前より抗狭心症薬を止める。
 症状でればニトロ舌下を早め!に使ってもらう。
  (VSAの時は、冠動脈が攣縮で細くなりすぎると、せっかく舌下してもニトロが冠動脈に到達しにくくなるので、「VSAでのニトロ舌下は早めに!」がキーワードです)
  (PS:ちなみにご存知とは思いますが、EAPの時のニトロの効果は主に、ニトロ舌下→全身の静脈拡張→LVEDP↓→心筋の潅流圧が改善することにより、ニトロの効果がでます。)  HolterなどでST上昇が捉えられている場合、つまり異型狭心症の可能性が非常に高いときは、抗狭心症薬の中止は(死亡などの)危険なことがあるので、カテはorganic lesionの否定のためだけに行うのがよいので、抗狭心症薬は続行する。

抗血小板薬
PCI、特にステントの時は続行
CAGの時は中止。(ただしUAPでは続行する)

前投薬
咳が止まらない人は、リンコデ2.0gを投与しておく。

【検査】
迷走神経反射を以前のカテで起こしたことがある人は、硫アト1A imしておく

介助者は、徐脈や血圧低下がないか、よく注意しておく

患者がくしゃみしだしたら、アレルギーの可能性あり、要注意!!!

【穿刺】
消毒は、皮膚をこするようにする。
(PS:イソジンの効果が一番強いのはイソジンが乾く直前です)

穿刺の持ち物
1%キシロカイン、皮膚を切るメス、モスキート、穿刺用のサーフロー、ガイドワイヤー、シース、ガーゼ2枚ほど

台を少し上げ、穿刺しやすい高さにする。

麻酔は血管の両側にする(はさみこんで血管が動きにくくなる)
神経を穿刺するとまずいので、患者さんには事前に「電気が走るような感じがあれば言ってください」と伝えておく。
皮膚のカットは3mm程

皮下の剥離は十分にしておく。

穿刺する前に、穿刺針を持ったら、ガイドワイヤーを必ず、手に取れるところに置いておく!。

{以下は、鼠径部からの穿刺の方法です...}
鼠径靱帯(血管がよく触れるところ)のわずか下(1cmくらい下)から穿刺する

穿刺する前に、最も血管の拍動がよく触れる位置に、左手の指(中指とくすり指)で血管を強く押さえ、拍動をよく感じ、血管の走行を頭に描く。血管に沿って、頭側から薬指、中指、少しあけて人差し指の順におき、中指と人差し指の間から穿刺する。穿刺針を入れていくときに、左手指で血管を押さえすぎると血管の内腔がへしゃげて、かえって入りにくくなるので、左手指はごく軽く押さえる程度にする。血管がどこを走っているのかを頭でイメージするのが大切です

穿刺針は鉛筆( or ボールペン)をもつような指の格好で、軽く!!握る。

穿刺の角度は45〜60゚くらいが簡単にできる(立てれば立てるほど穿刺は簡単 but あまりに立てすぎるとガイドワイヤーが入りにくくなる)初心者は60゚くらいでやっているつもりで、丁度45゚位になることが多い。

難しい人(肥満者など)は、穿刺針の角度を立てる。

ASOの人では寝かせ気味で入るときがあるが、いずれにしろ難しい。

穿刺針は、軽くにぎり、肩の力を抜く。少し深呼吸してから、穿刺に入る。

まず、皮下をゆっくり、のろのろ(3〜5mm/sec程)と進める。針先が血管壁に当たると、右手の穿刺針に血管の拍動が感じられる。そこで3心拍ほど針先で感じた後、一気に3〜4mm程、進めると、サーフローの後ろに血液が帰ってる。そこで、内筒を抜くと、血液が、拍動性に出てくるので、用意して置いたガイドワイヤーをゆっくりすすめる。当たるなら、押さない。当たるなら、透視で見ながら入れること。ガイドワイヤーが入ったら、穿刺部を指で圧迫しながら、外筒を抜き、シースを挿入する。シースを入れるときには必ずシースの後ろからガイドワイヤーが出ているのを確認する。

シースを入れるときに抵抗があるようなら、ダイレーターだけ入れてみることもある。

シースがささくれだっていたら、その シースはダメ(ごみ箱へ捨てる)

ヘパリンはVシースが入っていたら、Vシースから打つ

ヘパリンをAに打つときは、「少し熱くなりますよ」という。


【カテ操作】
カテをシースに入れる時や、カテを上げていくときは、必ず、左手でシースを持ち、シースが抜けないようにする

カテをシースに入れた直後はガイドワイヤーを先行させる。

枝に入らないように注意。

大動脈石灰化の強い症例や高齢者では、ゆっくりカテを上げる。

aortic archの所ではスピードダウンする

頚動脈に入らないように!!

ガイドワイヤーがValsalvaまできたら、ガイドワイヤーはホールド

カテを、三連活栓につけて、カテをflashする。カテを上げるのに時間がかかったときは、カテの中に血栓ができているときがあるので、カテの中の血液を注射器で吸って捨てる。

圧を必ず見ること!!(特にJLの時)
 しらんまに冠動脈にengageしている時があるので。

カテを回すときは、
左手:シースに添える。カテは押すことはあっても引くことはない。回すのは微調整の時のみ。
右手:三連活栓の三活の所を持って、回したり、引いたりする。

カテを回すときは、体外に出ているカテの部分は直線化する。

カテは360゚以上は回さない:kinkするので!!
 無茶すると稀にカテがちぎれかけることがあります

総腸骨動脈の蛇行のある時はカテ回しが難しい。初めから分かっている場合はlong sheathを入れるとカテ回しが楽になる。

造影剤注入の時は、必ず造影剤の側を上にする(空気を注入しないため)!!

JR:透視をLAOに向ける(20゚くらい)。Valsalvaに落として、5〜10mm程引き上げて、時計に回しながらごくわずかカテを引き上げる。圧に注意(wedgeにcare、特に6F以上の時に。)。カテの動きがやや止まった感じになったら、engageしている可能性があるのでテストショットする。

左手は必ずシースに添えて抜けないように。

どうしても時計回転で入らないときは、反時計で回していれる

JL:しらんまにengageしているときがある。普通まわさなくても押すだけ or 押して引いて押すだけ、で入る

Wedge波形
semi wedgeだと、圧モニターの収縮期血圧は不変で、拡張期血圧のみ下がってくる(脈圧が大きくなる)
さらにwedgeが強くなると、収縮期血圧も下がってくる。
さらに強くなると圧がなくなる。→Vfや徐脈に移行する...(^^;
RCAはwedgeしやすい(RCA入口部はLCAに比べ細いことが多くwedgeしやすい。)
semi wedgeの時点で気づくように、外回りのヒトや、介助者が注意すること!!

【薬の冠注】
逆血を確かめるときには、ぐっと引かないように(冠動脈に入っているので!!)

薬はワンショットでなく、ゆっくり注入するように

(ニトロなら0.5cc/secくらい)

カテが跳ねないように、注意。(カテを引いたり、ぎゅっと回したりしないように)

キシロカインを冠注しないように!!


【撮影】
カテサイズが大きいときは(8Fなど)一気に造影剤を打つ

RCAの方がLCAより注入速度がゆっくりでいいときが多い
(一般に、RCAの方がLCAより血流量が少ないので)

RCA病変が疑われるときは、LCAより造影する
LCA病変が疑われるときは、RCAより造影する


基本的な撮影方向
LCA : RAO、RAO腹、正面頭 or 腹、LAO頭
RCA : LAO、LAO頭 or 正面頭、RAO

LADの病変の時→正面頭、RAO頭をとる

LCXの病変の時→正面腹をとる

基本的にLADは頭系、LCXは腹系

LADやLCXの入口部病変やLMTの病変→spider view(LAO腹)をとる

造影直後に著しい徐脈になる時がある
→カテを冠動脈から抜き、咳嗽させて横隔膜による心刺激をすると戻るときがある


完全閉塞があったとき
コラテ(側副血行路、collateral)を出している側の冠動脈(=コラテのdonor)の造影は、撮影時間を長くする
(∵ コラテはflowが遅いので、造影剤が映ってくるのに時間がかかるので)

[コラテの撮影方法]
(1) RCA完全閉塞で、LCAよりコラテの時
   LCAを映すときに、LAO or LAO頭 or 正面頭で映すとよい
(2) LAD完全閉塞で、RCAよりコラテの時
   RCAを映すときに、RAO or RAO腹で映すとよい

【止血】
狭窄がなければプロタミン
 ヘパリン3000単位なら、プロタミン1.5〜2cc(15〜20mg)で中和
【おすすめの本】
中古しかないのですが...
ご存じ、倉敷中央病院の光藤和明先生の著書です。


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