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予想外だった症例を、まとめてみました。




















高血圧のコントロール不良とのことで入院となった中年女性。
血圧200mmHg程度。塩分制限7gで様子みていたら、血圧は120台に改善し退院とした。
しかし、外来で再び血圧200台になる。
家庭での精神的ストレス(夫の浮気??)かと疑っていたが...




→とりあえず栄養指導を受けてもらったところ、自宅での塩分過剰摂取だった。
漬け物を毎食どんぶり1杯にしょう油をかけて食べていた。
栄養師さん曰く推定塩分摂取量は28g/dayとのこと。

【教訓】
「予想できないような食生活をしている人がいる。」
一般に、関西地方で育った方は、こんな無茶している人は少ないと思いますが...。
昔昔、秋田県では塩分摂取量は1日平均28gだったとか。そのためか、40歳代後半で脳出血でばたばたと亡くなっておられたそうです。


意識レベル低下で受診(JCS II桁)した慢性血液透析患者。
徐脈あり。心電図とると心拍数30台でP波が消失、QRSは幅広い。




→高K血症だった。

【教訓】
これはよくある話ですね。一応、意識障害のある方は、バイタルとって異常があれば心電図をすぐにとるとよいかと思います。
バイタルがnpなら、血糖値とか頭部CTとかをおもむろに調べたらよいかと。


胸部不快感があり、救急車で搬送されてきたpt。
血圧70台。心電図では洞性頻脈でV4-6でST低下1mm(Horizontal)。
心エコーしたところ、壁運動は前壁中隔がやや低下しているようにみえるが、血圧が下がるほど悪くない。どうやらLMT(左主幹部)病変ではなさそうだが...。




→診察したところ、上腹部に圧痛あり。
→念のため腹部CTとったところ、膵臓が極端に腫大している。
→重症急性膵炎だった。(胸部症状でも腹部の診察が大事だと思いました。)

【教訓】
胸部症状でも、腹部疾患のこともある。


胃が痛いとのことで、夜間救急受診した中年男性。
当直医は胃薬を処方して、後日外来受診するように説明して帰宅させた。
翌日ショック状態で救急病院に搬送。




→AMIだった。同日死亡確認。

【教訓】
これもよくある話ですね。時々、裁判にもなっています。
心窩部痛の場合は、念のため、狭心症や心筋梗塞の可能性がないか、少しは疑う必要があります。
なにしろAMIの1日以内の死亡率は約20%程度といわれており、ほとんどが病院到着前の死亡という、こわい疾患ですから...。


胸痛で入院した中年男性。前壁梗塞だった。緊急の心カテでは#9:100%閉塞だったがPTCA不成功。
その後、入院中に頻回に胸部不快感を訴えるが、ニトログリセリン舌下は無効。発作中の心電図も変化しない。
心カテを繰り返すも所見は変わらず。
主治医は念のため胃カメラをするも、異常所見認めず。




→主治医は、途方にくれて、まあ、胃透視でもやってみようとオーダーした。
→結果は、入口部食道癌だった。

【教訓】
胃カメラは初心者のうちは食道入口部の病変を見逃すことがありますので、引き抜く時に必ず観察するようにしましょう。


後腹膜腫瘍による腎血管性高血圧の入院患者で血圧が200〜220程度が続きコントロール不良だった。
入院中のある夜、意識障害あり。当直医は脳出血などを疑い頭部CTを調べるも異常なし。とりあえず、神経内科医をcall。




神経内科医の診察では四肢脱力あり、代謝性脳障害では、とのことで血糖値を測ると、「Low」だった。
→ツッカーivで意識障害は改善した。

【教訓】
この症例は、正直なんで低血糖がおきたのかわかりませんでした。とりあえず、意識障害の鑑別には「低血糖」もちらっと考えておく必要があります。


手の荒れが強いと訴える女性




念のため、「1日何回くらい手を洗ってますか??」と聞くと、「1日30回くらいです」とのこと。
結局、強迫神経症だった。


発熱で入院したが不穏症状がきつく、精神科の病院へ転院




髄液検査で結核性髄膜炎。高次脳機能障害、四肢麻痺が残り、気切、胃瘻で病院を転々とされている。
【教訓】

左下腹部の不快感(便がでそうな感じ)と気分不良にてタクシーで来院。QQ室で血圧が100→70→50と下がっていき、輸液全開で血圧は80程度で少し楽になったと。




とりあえずCTをとったところ腎下部の大動脈瘤破裂による後腹膜血腫→心臓血管外科紹介し無事OP終了し歩行退院。

【教訓】
この方は直感で腹部CTをオーダーしたんですが、腎生検後の格言に「腎生検後に、便が出そうな感じがあると言われたら、後腹膜出血を疑え!」というのがあります。後腹膜血腫で下部大腸を刺激して、排便したくなっちゃうそうです。

過換気症候群、パニック障害のある肥満女性。デパス、パキシルで少しましになるが、コントロール不良で頻回に過換気発作あり、しょっちゅうQQ受診あり




ある時甲状腺腫大に気づき、精査したところ、結局バセドウ病だった
→メルカゾールで甲状腺機能の正常化とともに過換気発作は消失した。

【教訓】
精神疾患と思っても、「女性をみたら甲状腺と思え!」の格言を忘れないようにする。
まあ、普通に考えれば、甲状腺機能低下症→うつ病、甲状腺機能亢進症→躁病やパニック障害などでしょうか...。
また、最近は、肥満のバセドウ病も増えてきているそうです。この方も、よく問診すると、おやつには食パンを一斤食べておられたようです...(^_^;


頻回に吐血を繰り返すが、何度胃カメラをしても胃、食道、十二指腸には異常がなかった。




アンギオでは動脈から胆管へのfissuraあり、胆道出血だった

【教訓】
吐血患者で、胃カメラnpの場合、胆道出血の可能性も頭に入れておく。


原因不明の腎不全、両腎腫大あり




腎臓のみの悪性リンパ腫。リンパ節腫脹はみられず、Gaシンチでも両腎のみにuptakeあり。腎生検で診断。

夜間興奮して大暴れする中年の患者。特に頭部MRIでは異常なし。昼間は普通の人。




暴れている時に血糖値を測ると、「Low」
→精査によりインスリノーマだった。

開業医の腹部エコーで巨大膵嚢胞があるとのことでCTの依頼あり


→CTをとったところ、径7cmの腹部大動脈瘤で、腎下部で破裂しており、後腹膜血腫あり。
→心臓血管外科紹介し、同様の所見であり、無事OPをして頂いた。

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